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こころ講座 12.「感情の解放」脱感作ワーク

≪こころ講座アーカイブ

「憎しみ、嫉妬、ねたみなどの嫌な感情からの解放」
なぜゆるしたくてもゆるせないのか?嫌な感情からの脱却

不安や恐怖の感情を数値化して解放するEMI、EMDRの脱感作ワーク

嫌な記憶を思い出して辛くなる事は、その個人差はあれど、誰にでもあるのではないでしょうか?思い出したくない、考えたくないのに嫌な記憶と感情が頭をよぎってしまう時に、自分でそれに気づき早めに対処出来たらいいと思いませんか?
今回のこころ講座では、EMI、EMDRなどの脱感作の療法で嫌な感覚を「数値化」して見る方法をお伝えします。

例えば、

  • 誰かの言動や態度で感じた不快な気持ちを消化できず、何度も思い出し、恥、自己否定、罪悪感、恨みなどの嫌な気持ちをいつまでも引きずっている時
  • 過去に起きた衝撃的な記憶がよみがえってきて、その時の不安と恐怖に襲われ辛くなる

もう思い出したくない無いのに、思い出す嫌な感覚や感情は本当に苦しくて嫌なものです。そんな時に無理に忘れようとするのではなく、そのまま感じながら感覚を抜いていきます。その中で、自らその嫌な感情をあえて手放したくないと言う感覚があります。

憎しみ、嫉妬、ねたみなどの嫌な感情

辛かった経験が「ゆるせない」という正当化された怒りになって、それを雰囲気や態度であらわすことで、相手を懲らしめたい気持ちになる感覚は誰だってどこかにあります。しかし、いつまでも怒り自己憐憫に浸っていては現在の良い関係性は築きにくいのが現状です。

後悔や無念さの中で、その嫌な気持ちのままで止まっている時間は、自分も自分の周りも良いものではありません。モヤモヤとした怒りや憤りの感情、拗ねた気持ちを感じながらも、それをジャッジせず手放すときがきたら、苦労せずに楽に気持ちを切り替えるために「脱感作療法」をつかってみてはどうでしょうか?

ここで言う脱感作法とは、「眼球運動」により敏感な感情や感覚を和らげ記憶の再処理をするものです。それを6つご紹介します。

目次

  1. EMI 眼球運動
  2. EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)
  3. フラッシュテクニック(FT)
  4. RAS®セッション
  5. NLPプラクティショナー

【1】EMI 眼球運動

EMIのテクニックの基本概念は「NLP(※1)」から来ています。

※1:Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)の略称で、言語学者のジョン・グリンダーリチャード・バンドラーによって提唱された、コミュニケーション、能力開発、心理療法へのアプローチを目指す心理学です。

EMIは、NLPのトレーナーであるコニレイ・アンドレアススティーブ・アンドレアスの夫婦によって開発されました。EMIは習得が非常に簡単で、感情や限定的な信念に働きかける効果的な方法です。その中で、人間が思考するときにアクセスされる脳の箇所に、眼球が動く傾向がある「眼球アクセス・キュー」があるといいます。

眼球アクセス・キューには、「Vr」「Vc」「Ar」「Ac」「Ad」「K」の6つのポイントがあります。

  1. Visual Remembered (Vr):過去の記憶のイメージを描く。左脳の機能。眼球は左上に動く。
  2. Visual Constructed(Vc):経験したことのない未来又は空想のイメージを描く。右脳の機能。眼球は右上に動く。
  3. Auditory Remembered(Ar):過去の記憶の音、聴覚。左脳の機能。眼球は左横に動く(左耳の方向)。
  4. Auditory Constructed(Ac):経験したことのない未来又は空想の音を聞く。右脳の機能。眼球は右横に動く(右耳の方向)。
  5. Auditory Digital(Ad):頭の中の独り言。数字で表示された式、左脳の機能。眼球は左下に動く。
  6. Kinesthetic(K):感情、運動感覚の、または運動感覚に関すること。右脳の機能。眼球は右下に動く。
眼球アクセス・キュー

 左右はクライアントを基準としています。クライアントに面していると、左右は逆になります。

上記の眼球の動きは人口の約85%に当てはまります(15%は逆方向に動く)。

EMIの手法

クライアントが不安なことを感じているときに、眼球を6つのポイントに繰り返し動かします(12往復)。繰り返し動かすことで、不安感と不安の記憶を切り離し、クライアントが記憶を思い出しても不安感を感じなくなります。または以前不安に思っていたことを思い出しても不安感が緩和されます。

【2】EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)

またEMIにとても似ている手法で「EMDR」があります。EMIが開発された頃とほぼ同時期に開発され、原理的にはEMIとほとんど同じです。

  1. アイ(Eye):目
  2. ムーヴメント(Movement):動く、動き、動作 (物体・惑星などの)運動、(政治的・社会的な)運動、活動 
  3. ディセンサタゼイション(Desensitization):繊細な感度を緩める、緊張の緩和、鈍感にする、過敏症を減じる
  4. リープロウセスィング(Reprocessing):再加工、再処理

簡単にまとめると「眼球運動による脱感作と再処理法」という意味で、EMDRはPTSD(心的外傷後ストレス障害 ※2)に効果があるとされている治療法のひとつです。 

※2:記憶に繋がる嫌な感覚が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態。

EMDRはトラウマの原因となった出来事や感情を思い出しながら、治療者の指を目で左右に追っていきます。 それを繰り返していくことにより、トラウマ(※3)になった出来事を乗り越えていく治療法です。単純なことをするだけの治療法ですが、エビデンスのある心理療法で他の精神科疾患、精神衛生の問題、身体的症状の治療にも、学術雑誌などに成功例が記述されています。 

※3:意図しない大きな災害、事故、病気などの深刻な体験の後に、急にその体験を思い出して辛くなることや、不眠や動悸などの身体的症状がずっと続くことがあります。または、そのきっかけになった体験自体が思い出せないこともあります。それは脳の情報処理の機能がうまく働かず、神経系統に混乱が起こっていると考えられています。その時の感情・体の感覚が混乱したまま維持されたまま、「私はだめな人間」「私は弱い人間」というように、時間が経った今でも自分のことを必要以上に否定的に見てしまったりする状態をトラウマと言います。

またEMDRは、「適応的情報処理モデル(AIP:Adaptive Information Processing)」というモデルに基づいています。

  • アダプティブ(Adaptive):適応する能力があること
  • インフォメーション(Information):情報、知識、(情報・知識の)通知、伝達、案内、受付 
  • プロセッシング(Processing):何かの一連の行為における進行、経過、推移といった意味

人間は、生まれながらに周囲の環境に適応するように情報を処理する能力がある、という仮説をもっています。辛い記憶ばかりが互いに結びつき、固まってしまってトラウマになっているところへ、眼球運動や左右交互の身体へのタッピングという刺激を与えることによって、つらい記憶の結びつきがほどけていきます。本来持っているAIPが活性化され、適応的で前向きに情報が整理し直されることによって、苦痛が消えてしまうという療法です。

生きて行く上で悪い事態が起こる可能性はゼロにはなりません。それでも私たちが前向きに生きていけるのは、根拠のない「幸福力」があるからです。誰もが根拠のない幸福力を生まれながらに備えているのだとしたら、痛みや悲しみを感じながらも、病や問題を取り去ることに神経をすり減らすだけではなく、自然治癒力を回復させることが出来ます。

EMDRは、1989年にアメリカのフランセス・シャピロによって考案されました。シャピロは散歩中に、「嫌なことを考えながら、眼球を左右に素早く動かすと気分が楽になる」ことに気付き、行動療法としてこれを使い始めます。ベトナム退役軍人の様々なトラウマから起こるPTSD、アルコール依存、薬物依存などの問題を、脳の情報処理過程の観点から研究し始めます。

研究が進むにつれ、トラウマによって主に引き起こされる解離性障害や気分障害(うつ病)、不安障害、パーソナリティ障害、心身症の治療にも「一回の面接で被験者全員の苦痛がゼロ近くに低下する」という結果を得られることが分かります。これを発表した彼女の論文は、世界中に大きな驚きと反響を与え、現在では世界各国のPTSDの治療ガイドラインに推奨され、2013年にはWHO(世界保健機関)により、最も安全で効果的なトラウマ治療と認定されています。最初はEMDという名称でしたが、1990年よりEMDRの名称に改称されました。

EMDRのモデルによれば、心身の問題の多くはトラウマ的な辛い体験の記憶が処理しきれず、未消化になっていることに起因するとされていています。本人はさほど重大だと思っていない体験の記憶も、意外と現在に影響を与えているとされます。その体験をした時の認知、情動、身体感覚などが細かく切り離されてしまい、統合・消化されないまま記憶に保存されます。

またその時に「自分はダメな人間だ」「弱い」「人に愛されない」などの否定的な自己イメージも形作られて、独立して保存されてしまいます。それらが尾を引き、何かの動作や日常生活、対人関係など、似たような場面で足を引っ張り、心身の問題を引き起こすと仮定されています。

EMDRでは、それらの記憶やイメージを人間が本来持っている回復力につなぎます。自然な消化を促進することで、心身の問題を解消すると考えられています。EMIもほぼ同じ原理だと考えられ、脱感作の左右交互の刺激が、脳の神経系に働きかけて滞っている情報に変化を起こし、心のどこかに落ち着いていくプロセスを短時間で進めることができます。

また従来の治療法では、辛い出来事のすべてを細かく語ることが必要とされたのに対し、脱感作の療法では詳細を語らなくても治療を進めることができ、辛い出来事やトラウマを思い返す時間が少なく、短時間で改善が進むのが特徴です。

また幼少期に共感された体験が多い人の場合、大きくなってから受けたトラウマは3~12回程度の面接で改善します。幼少期からの慢性的なトラウマや不適切な養育がある場合、本人の中に肯定的な体験の感覚や感情を築き上げる事を優先させ、安心・安全感を高めてからトラウマと向き合います(トラウマケア)。そのため多少の時間は掛かりますが、土台を整地してから進める方がよりスムーズ且つ着実に回復の道に向かいます。

トラウマケアの目的はフラッシュバック(こころとからだの不快感)を除去することです。つまり、フラッシュバックを伴う過去のトラウマ記憶を、ニュートラルな記憶に置き換えるということです。この状態になると「あぁ、そういえばあんな事もあったなぁ~。」と、心身の不快感を伴わずにその出来事を思い出すことができるようになります。トラウマケアすることでフラッシュバックの無い、平穏で軽やかな日常を過ごすことができるようになるでしょう。

トラウマケアとカウンセリングの違い

セラピストに話を聴いてもらうカウンセリングとは違い、トラウマケアは様々な技法を組み合わせて、不快な身体の感覚や認知の歪みに対してアプローチをします。トラウマの記憶は人間脳(大脳皮質)ではなく、より古く原始的な哺乳類の脳や爬虫類の脳に、身体の感覚記憶として格納されます。そのため従来の傾聴主体のカウンセリングのように、人間脳にアプローチする方法では期待する効果が得られない可能性があります。

脳の三層構造説

ポール・マクリーンの脳の三層構造説

  • 人間脳(理性)大脳新皮質:目的意識
  • 哺乳類脳(情動)大脳辺緑系:衝動的感情(喜び・愛情・怒り)、嫌悪感(仲間意識・犬・動物)
  • 爬虫類(反射能)脳幹:生命維持の為の本能、心拍、呼吸、体温調整、性行動

一方、トラウマの記憶が格納されている脳の深部に届きやすいトラウマケアは、傾聴主体のカウンセリングと比べて大きな効果が期待できます。数回のセッションで劇的に変化する場合もあります。

EMDR8段階と呼ばれる標準的なやり方

1段階「治療計画」

  • 過去の治療経歴
  • トラウマ的出来事のリスト作成
  • トラウマの分類

クライアントとセラピストの話し合いで情報を整理し、治療計画の立案を行います。セラピストは、問題の成り立ちについての仮説を立てたり、ターゲットとするトラウマ記憶を特定していきます。

2段階「下準備」

  • 安全な場所の選別
  • 可能性のある副作用の理解と話し合い
  • 自己制御技術を学ぶ(マインドフルネス、瞑想、呼吸法)

EMDRの概要や効果などについてセラピストから説明し、同意を得ていきます。また、実施中にフラッシュバックやパニックが生じた際の対処法についても説明を行います。

3段階「評価」

  • トラウマの記憶を選ぶ
  • もっともよく表現している画像を選ぶ
  • もっとも最適な「陰性の認知」と「陽性の認知」を選ぶ

ターゲットとして設定しているトラウマの記憶に対する、クライエントの否定的な認知や肯定的な認知を同定していきます。肯定的な認知とは、クライアントがトラウマの経験に対してどのような意味づけを行えるようになりたいか、といったことを示します。

第4段階「脱感作

  • 指先または点線を追う事で画像をぼかしていく

ターゲットとしているトラウマの記憶や否定的な認知を思い浮かべながら、セラピストの指を追従してもらいます。標準的には12~13往復を1セットとし、繰り返し行う中で脱感作を行います。

5段階「インストール」

  • 陽性の認知をインストールする
  • 指先または、視点を追う

ここで記憶の再処理を行います。セラピストの指の追従による眼球運動を続けながら、ターゲットになっているトラウマの記憶に関する肯定的な認知を思い浮かべていきます。

6段階「ボディースキャン」

  • 体内の残りの緊張を一体化する
  • 残りの緊張を再処理する

ターゲットとなっているトラウマの記憶と肯定的認知を思い浮かべつつ、ボディスキャンを行なっていきます。不快感情が残っていれば、それをターゲットにして脱感作と再処理を繰り返していきます。

第7段階終止」

  • 平静の状態に戻す
  • 自己制御技術の適応
  • 日記の促し

クライアントの感情が安定していることを確認したうえで、セッションを終了します。

8段階「再確認」

  • 以前の記憶の事でまだ動揺する事があるかの確認

次回のセッションにて、前回ターゲットとしていたトラウマの記憶の不快感が消失しているかを確認します。消失しているようであれば、次のターゲットとなるトラウマの記憶を同定し、第3段階から第7段階までのプロセス(脱感作と再処理)を繰り返していきます。

トラウマは人によっては複数持っている場合もあります。どんなに優れた療法であっても、全てのトラウマを一気に処理することはできません。脱感作も一つのエピソードをひとつひとつからしか処理できません。そのため、長年の間繰り返されたトラウマを抱えたクライアントは、幾度も施術を繰り返す必要があります。第2段階と第3段階でひとつの問題を決め、脱感作による処理をしていきます。

【3】フラッシュテクニック(FT)

EMDRの準備段階への追加として開発されたFTは、時にはわずか10~15分で、重度の痛みを伴う記憶に関連する障害を軽減するのに効果的であることが実証されています。EMDRと同様、眼球運動または交互のタッピングを利用し、未処理のトラウマの記憶を解決するように設計されています。

  1. 潜在意識の処理
  2. 記憶の再統合
  3. 現在の視点からの観察
  • 左右交互の振動
  • 左右交互の音
  • 左右交互の刺激(例:左右にモモを叩く、左右に机を叩く、左右に楽器を鳴らすなど)
  • まばたきと深呼吸

これらの動作で苦痛を数値化します。これを数値が下がるまで繰り返します。

【4】RAS®セッション

①下記内容を、セッションシートへ記入します。

  • 解決、解消したいこと
  • 問題となっていること
  • 不安に感じていること
  • ストレスを感じていること
  • ストレスを感じている人

②キネシオロジー(筋肉反射)でYes・Noの反応を取ることを基本としています。その反応を正しく取れるようにするため、いくつかテストを行います。
③お悩みに対しての「信じ込み」を特定していきます。
④特定した信じ込みを解放します。
⑤身体からの宿題を確認します。
⑥身体から終了承認を得て終了します。

【5】NLPプラクティショナー

クライアントの前方に立ち(片腕の距離ほど)、片手を8の字を横にした形「∞」を描きながら目の前で動かします(「∞」の丸は大きめの皿くらい)。このとき、クライアントはずっと不安感を感じ続けるようにガイドされていきます。さらにクライアントは眼球だけを動かし、頭は固定。クライアントの感情が緩和されるまで続けていきます(5分程度)。

【6】

私たちは、自然治癒力として「夢」をみることにより、日常で体験したことを頭の中で整理し、置くべきところに置けるようになります。そして些細な事やどうでもいいこと、都合の悪いことは忘却させます。夢は脳の負担を和らげる役割を担っています。

夢を見る時、人間の眼球は早いスピードで動き回ります。この眼球の動きと記憶の整理が物理的にどう関連しているのかはまだ分かりませんが、仮説的に関連していると捉え、それを利用し、起きている時にも睡眠のような記憶の整理を行うのが眼球運動なのです。

日常で体験したことを頭の中で整理

※ EMI、EMDR、FT、RAS®は簡単な眼球運動と感じますが、極めて高度な技術にあたるため、トレーニングとライセンスを設けて厳しい基準が設定されています。ここでは日常生活における嫌な感覚をケアするための自己目的としてお使いください。

幼少期からの虐待などでポジティブな記憶が少なかったり、あまりにも強いネガティブな出来事に遭遇してしまったり、体調やコンディションが悪くて消化できなかったりした時、ネガティブな記憶はそのまま残ってしまいます。そして、そのネガティブな記憶が繰り返し想起され、想起の度に嫌な気持ちになり、時には当時の状況をありありと再体験してしまうようなフラッシュバックを起こしたりします。そうなるといつまで経ってもネガティブな記憶が吸収されることなく、居残り続けてしまいます。それが様々な心身の症状や現実的問題に影を落とします。

ここで紹介したどのセッションにも、時には感情があふれたり、辛くなったり、苦しくなったりもします。そうした過程も必要な事として向き合っていくことが、トラウマの治療では大切になってきます。

一通りトラウマの記憶を処理し、クールダウンや効果のほどを確認、精神的痛みの数値が2~1以下になったところでセッションは終了となります。1回限り(単発性)のトラウマであれば、数回のセッションで終えることもあります。虐待など繰り返されたトラウマの場合であれば、数十回のセッションを費やすこともあります。どのような療法もそれなりの積み重ねは必要となります。

練習セッション スクリプト

①ちょっとしたストレスやトラウマ的な体験を決める

「あなたが解決したいちょっとしたストレスや、小さなトラウマ的な体験はなんですか?」

②軽く話してもらう(もしくは心の中で決める)

「無理なく話せる程度で良いですよ。または心の中で解決したい問題を決めてください。」

③嫌な感覚の認知 

「その事を考えるとどんな気持ちになりますか?」
「その嫌な感覚は身体のどこで感じますか?」

④ストレスの度合いを決める

「そのストレスは数字に表すとどのくらいですか?」
「0〜10で測ったとして、0はストレスを全く感じないとしたらいくつですか?」
(10はその事を考えると最悪で苦しくなる、辛すぎる。0は気にならない、詳細に思い出せない。)

⑤肯定的な認知

「その感覚や感じ方がどのように変化したらいいですか?」

⑥解放したい感情を感じてもらう

「思い出したくない嫌な場面や気持ちですが、今少しだけ感じてみることはできますか?」
「もしできるようでしたら感じてみてください。ストップした方が良いと感じた時はいつでも手を上げたり、どのような形でも良いので教えてください。」

⑦脱感作

「嫌な感覚や気持ちを出せるときは言葉にして、出来ないときはその気持ちを感じながら、頭は動かさずに私の指を目で追ってください。頭は動かさないで目だけで追ってください。」
(両側性の刺激。右・左・右・左とゆっくりから徐々に早く、約12往復程度。)
1セットごと、または変化のあった時に「そう、いいですよ、その調子で。」
感情が動き出したときに「そう、それは昔のこと。ただ感じてください。」
混乱してきたら「まばたきを三回してみてください。」
12往復後に手を止めて「大きく深呼吸してください。全て浄化されていきます。深呼吸です。」

⑧中間確認

「なにか変化は、ありましたか?」
クライアントが答えたら「それと共にいてください。それを感じながら……。」と言って⑦を繰り返します。

⑨認知の確認(数値が0に近くなるまで)

「始める前の感覚から数値はかわりましたか?」
数値が2以上なら脱感作を続けます。

⑩肯定的認知(⑤で話してくれた事)を思い出して浮かべてもらう

「目を閉じて(なりたい姿、セラピストが⑤で聴いたことを促す)を感じてみてください。」
「その感覚を十分身体で感じながら、なにか感じる事があればお話しください。」

⑪肯定的感覚の共有

「そうですか~。良いですね~。素晴らしい。」

⑫クロージング

「今日行ったセッションは、あなたが忘れてしまっても脳が自然に回復し続け、潜在意識の処理が行なわれ、記憶の再統合がはじまります。」
「今後あなたは、新しい考えや意識に気づくかもしれませんし、気づかないかもしれません。もし気づいたら、あなたが感じている事や新しい体験に意識を向けて、頭に留めておいてください。必要があれば次回のテーマとして取り扱いましょう。」