毎月22日の心理学講座
今日のテーマは、 怖れ・不安・自己防衛 です。
ストーリーの題名は「真逆の感情」です。
今は、赤ちゃんを抱きながら 優しい眼差しで笑っているA子さんのお話しを通して
カウンセリングと感情についてストーリーにしました。
今日の心理学講座の朗読です。
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A子さんは、ある特殊な免許を持った先生です。
長い夏休みも終わり、実った稲が刈り取られる頃、「幸せ堂」に来てくださいました。
ジーパンにTシャツ、少し大きめのサイズの上着を はおい キャップ帽を被って
髪がとても短かったので、んっ。? 男性?と、一瞬思ったのですが
すぐに女性だと分かりました。
年齢は、20代 後半 笑顔がとても可愛い女性です。
A子さんの悩みは、親と仕事の問題でした。
A子さんは、結婚などしないで一生、仕事がしたいのだ!と言っていますが
親は幸せな結婚をして欲しいと
両者の意見が分かれ 揉めている との事でした。
よく聞くと、A子さんは、特殊な資格を活かし 海外赴任を希望していると言うのです。
親御さんが心配しているのは、A子さんの 海外赴任先が、中南米のとても治安の悪い都市で
ネットで 検索してみても、多くの人が職もなく窃盗・麻薬・殺人が 蔓延していて
親の居ない子供たちが犯罪を犯さないために 教師として抜擢されたと言うものでした。
実は、A子さんが自ら志願したと言うのです。
一見、男性的で不安や恐怖を 微塵も見せないA子さんでしたが、
とても親に対して強い怒りを持っているのが分かりました。
親御さんは、2人共A子さんと同じ教師で、A子さんは1人っ子だそうです。
親御さんからしたら、 治安の 悪い 誰も行きたがらない そんな国に、
年頃の娘を出したくないのは、もっともだと思うのです。
しかし、A子さんが、 敢えて
そのような危険な場所へ行こうとするのが 疑問でした。
それで、A子さんに尋ねました。
「A子さんは、なぜ敢えてそんな危険な場所に 行こうと思ったのですか?」そして、
「なぜ一生結婚しないと決めているのですか?」
A子さんは、斜め下に 視線を移すと
答えました。
A:「親が、結婚を 匂わすような事を 言うからです。」
私は、確かめるように 訊き返しました。
「親御さんは、A子さんの結婚に 関して、結構きつい言い方をするのですか?」
A:「いいえ、そんなことはないのですが、結婚したくないのです。」
雅流望:「結婚する事に関して、なにか抵抗があるのですか?」
私は、A子さんが 男の人のような恰好をしているも気になりました。
A子さんは、だいぶ沈黙の後で、急に話し始めました。
A:「ミナミさん、結婚しないと変ですか?」
雅流望:「いいえ~全く変では、ありませんが、A子さんは、「結婚」と言う言葉に関して何か感じる事は、
ありますか?」
A:「したくないです。」
雅流望:「もしかして、結婚したくないから、敢えて中南米の危険な国に行こうとしているのですか?」
A:「そうかもしれません、でも迷うのです。」
――――― 何が、A子さんを 迷わせるのでしょうか?
私は、A子さんの中で「結婚」に対する 不安や怖れそれと真逆にある望みの様な物が
があるのではないかと思いました。
それが、何かを知るために質問してみました。
雅流望:「A子さんが、一生結婚したくないと決めているのは、なぜですか?」
ずっと考えているA子さんでしたが、話を変えるように
A:「実は、夏休みに 研修会がありまして、一週間広島に行ってきたのですが、そこで
同じ新潟からの参加者で、知り合った方がいます。」
雅流望「へ~ どんな方ですか?」
A:「男の人です。」
雅流望:「男の人ですか。。。独身ですか?」
A子さんは、迷いの中で答えます。 「怖いんです。」
雅流望「何がですか?」
A:「お付き合いする事が」
雅流望「、、、、怖いんですね」
A「はい。」
私は、A子さんと親御さんとの対立も、 誰も行かないような海外赴任を希望する事も
結婚に対する否定的な感覚
恋愛に対する恐怖感や 敢えて男性 的 に見せる様子も
A子さんを苦しめているトラウマの様なものに繋がっているのではないかと思いました。
雅流望:「A子さん、親御さんに対して感じる「苛立ち」の様な感情の
奥にあるものありますか?」
A子さんは、答えます。
A:「 親は、私がまるで男の子のような恰好をしているのが気にいらないのです。
でも、私が、なぜそんな風になったのかを知らないからです。」
雅流望「 親にも話せなかった 原因があるのですね」
A:「 はい、親は教師なので、忙しく 私は 塾やお稽古事で時間を 過ごす毎日でした。
何もかも、塾の先生任せ、ある時、塾で行われる認定試験が、私一人で、会場が、新潟市内だったので
先生の車で連れて行ってもらったのです。
午前中の 教科が 終わり、お昼に先生と隣のレストランで食事を頂き、
夕方まで先生は、私の付き添いとしていてくださいました。
暗くなった帰り道、先生の車に乗ると
それまで普通にしていた先生の態度が急に変わり
「今日一日お前の為にずっと時間をさいたんだぞ!。ありがとう位言え!」と怒り出したのです。
それから、1時間も先生の暴言や罵声を浴びながら車に乗っていたのですが
私は、何が何だか分からず、怖くて 涙が止まらなくて
それでも、走っている車から飛び降りる事も出来ず恐怖の中で震えていたのです。
そして、家の近くまで来ると先生は、車を停めて、今度は急に「すまなかったごめん許してくれ」ともの凄い力で、私に抱き着いて来たのです。
まだ小学生だった私は、先生の力が凄すぎて抵抗出来ず。ブルブルと震えていました。
先生も疲れていたんだろうし、丸一日も私の事で、親でもないのに付き合わされて
感情的になったのかもしれませんが
でも、それからもう、塾には行きたくなくて
その先生は、塾を辞めたそうですが、それでも、男の人が怖くて
助けてくれない 親なんか一生、頼らないって心に決めました。
親は、教師なので どうせ、担任した生徒の方が大事なんだろうし、
私も 今は、同じ教師として その気持ちが分かります。
私は、自分の子供には、 そんな 悲しい思いをさせたくないし
だからこそ、結婚しない私が行く必要があるのです。
でも、夏休みの研修会で広島に 1週間いった時に
知り合った方が気になっているのも事実です。
研修中ずっとグループが同じで 楽しく過ごし
その時にラインを交換したのです。
帰ってからも、何度もメッセージを交換しているのですが、
来年の中南米への派遣には、行かないで欲しいと言われ
どうしていいのか 分からなくなってここに来たのです。と・・・
A子さんは、話すだけ 話すとゆっくりお茶を飲みました。
A子さんの悩みは、両親から始まりましたが、それは、過去に対する反発からでした。
男の人に対する恐怖感やトラウマが邪魔して、好きになりかけている気持ちを
否定するような、迷いでした。
私は、質問しました。
「A子さんは、塾の先生と車に乗っている恐怖や急に抱きしめられた恐怖を、今まで誰かに話した事がありますか?」
A:「いいえ、今まで誰にも話した事がありません。」と答えるA子さん。
雅流望:「ではA子さんのトラウマを解除するために、ワークをしてみますか?」
「はい」と答えるA子さんに
その時の 恐怖を角度を変えた形で感じてもらいました。
幼い子供が、親ではない男性に、車と言う密室で罵声を浴びたり
暴言を吐かれたりしたら、怖くなってトラウマになってしまうのは、当たり前だと思います。
そして、助けてくれなかった親に対して恨みを持つのも当然だと思います。
しかし、恐怖の中で小学校の時に感じた。男の人イコール恐怖のままでは、
A子さんなりの幸せが手に入らないと思ったのです。
なぜなら、最近知り合った男性が気になっているからです。
親との問題だけでは、きっと中南米に行ったと思うのです。
でも、迷って、ここに来たのですから
A子さん自身の男性に対する恐怖や 不安 を取り除けたら
もしかしたら、A子さんは、結婚したいのではないかと私は、思ったのです。
ワークの中で
小さな子供が大きくて怖い男性に抱きしめられる感覚から
A子さんの方が、大きくて暖かくて優しくて小さなものを包むような感覚で、私を抱きしめてもらいました。
きっとこの感覚は、先生として子供に接する時も、これから どんどん弱くなって行く親に対しても
どこかで通じる感覚だと思うのです。
小学生の時に感じた恐怖のままでは、本当に人を愛せません。
身動きもせず、表情もほとんど変えないA子さんでしたが
何か、少し、気持ちの中で抑圧されていたものが、ほどけたようになったのだと思います。
イメージワークを終えて
お茶と、甘いお菓子を食べながら
ちょっと表情が、変わったA子さんに聞いてみました。
「どうでしたか?」
A子さんは、ちょっと笑顔になって
「何かスッキリとして、体が楽になりました。」とおっしゃいました。
今までずっと、たった一人で、自己防衛して来たA子さん。
結婚したくないのも、親に対する怒りも
敢えて、危険な所に行こうとする事も、ある意味 A子さんが本当にしたい事を
言わせないための反発だったのかもしれません
表面に出ているA子さんの感情と「真逆の感情」 いったいどちらが
本当にA子さんが、求めているモノなのでしょうか?
ふと気楽にA子さんに質問しました。
雅流望:「今、知り合った男性とお付き合いするとA子さんは、何か困りますか?」
A:「困る・・・・・? よく分からないです。」
それでは、
ちょっと過剰な表現をしますがイメージワークなので感じて見てください。
ハイっと
椅子に深く座り直したA子さんに目をつぶって聴いてもらいました。
A子さんは、中南米のスラム街に居ます。
廃虚と化した街に、銃殺された死体が転がっていても誰も驚きません。
A子さんが赴任した先の学校では、子供が一人、二人と訳の分からない病気で死んでいきます。
A子さんも、病気になってもう命がありません。
実は、もう日本を離れて丸2年です。
粗末なベットに横たわり、天井を見つめています。
「A子さんの人生も、あと数時間。」
もし、神様に 今度の人生は、どうしたいのか?と聞かれたら何と答えるでしょうか?
A子さんは、静かに涙をジワリと浮かべながら、「女らしく恋愛して、お母さんになって、子供を抱いて笑っていたいです。」と
あれから 3年
その時、イメージした通りになっていましたね~と
3年前のイメージワークを笑って2人で話しました。
おしまい。
開催日 | 9月22日(金曜日) |
---|---|
開催時間 | 19:00~22:00 |
アクセス | 燕市吉田下中野3429 [map]燕市吉田下中野3429[/map] |
参加費 | 3,000円 |
定員 | 6人 |
予約・お問合せ |
≫お問い合わせ・お申込みはこちら |
開催日 | 9月22日(金曜日) |
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開催時間 | 19:00~22:00 |
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参加費 | 3,000円 |
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